国を愛して何が悪い260

中世は武家の時代だと言われるが、その権威が失墜したのが室町末期である。中世は仏教信仰の最も純化された宗教の時代だと言われるが、その権威の失墜したのも室町末期である。すでに源平合戦から承久の変を通って、院政の権威は失墜した。南北朝五十年にわたる内乱を通して公家の権威も失墜した。権威の名にあたいするあらゆるものが崩壊したところに生じた虚無感、これが下剋上の根本にあるもので、私は太平記を通して、南北朝…

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国を愛して何が悪い259

観阿弥、世阿弥の時代には、今日伝わるような、台本はなかった。狂言師もまた、暗唱し、或いは、即興的な要素も多かった。 題材は、すべて日常的で、庶民に親しみやすいものである。 今日伝わる台本は、最も古くても、室町末期の筆録で、大部分は、江戸時代に入り、書き留められたものである。 その中から、室町期の、言い回しなどを想像する。 それらの内容に関しては、省略する。 私は室町文学の生んだひとりの…

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国を愛して何が悪い258

室町末期である。精神史的には、何があったのか。 歴史はつねに激しい矛盾が、様々な形で共存しているものだ。たとえば河の流れがある。その向こう岸では戦闘や略奪がつづいているとき、川のこちら側では釣りびとが糸を垂れている、といった驚くべき呑気な状態がみられる。亀井 それは、日本の特徴である。 日本以外の、国、地域では、考えられないのである。西洋でも、大陸でも、戦闘があれば、住む人が皆、巻き込まれ…

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