もののあわれについて849

中の君も、うちすがいて、あてになまめかしう、澄みたる様はまさりて、をかしうおはすれば、ただ人にてはあたらしく見せまうき御様を、兵部卿の宮のさもおぼしたらば、などおぼしたる。 中の宮も、引き続いて、上品で、美しく、すっきりとしている点は、姉君以上で、美しくしていらっしゃるとのことで、臣下にやるのは、惜しく、結婚させたくないご様子なので、兵部卿の宮が、もし、お召しくださるなら、など…

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もののあわれについて848

紅梅 こうばい その頃、按察使の大納言と聞こゆるは、故致仕の大臣の次郎なり。うせ給ひにし右衛門の督のさしつぎよ。童よりらうらうじう、はなやかなる心ばへものし給ひし人にて、なりのぼり給ふ年月に添へて、まいていと世にあるかひあり、あらまほしうもてなし、御おぼえいとやむごとなかりけり。 その頃、あぜちの大納言と申し上げるのは、亡くなった、致仕の大臣の、次男である。お亡くなりにな…

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もののあわれについて847

賭弓の還饗のまうけ、六条の院にて、いと心ことにし給ひて、親王をもおはしまさせむの心づかひし給へり。その日親王達、おとなにおはするは、みな候ひ給ふ。后腹のは、いづれもなく、気高く清げにおはします中にも、この兵部卿の宮は、げにいとすぐれてこよなう見え給ふ。四の御子、常陸の宮と聞こゆる、更衣腹の、思ひなしにや、気配こよなう劣り給へり。 競射、のりゆみ、の、慰労会、かえりあるじ、の準備…

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