もののあわれについて850

かく内参りや何やと、我が方ざまをのみ思ひ急ぐやうなるも、心苦しなど思して、大納言「さるべからむ様に思し定めて宣へ。同じ事とこそは仕うまつらめ」と、母君にも聞こえ給ひけれど、真木柱「さらにさやうの世づきたる様、思ひ立つべきにもあらぬ気色なれば、なかなかならむ事は心苦しかるべし。御宿世にまかせて、世にあらむ限りは見奉らむ。後ぞあはれにうしろめたけれど、世をそむく方にて、おのづから人わらへに、あはつけ…

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