もののあわれについて851

若君、内へ参らむと、宿直姿にて参り給へる。わざとうるはしきみづらよりも、いとをかしく見えて、いみじううつくしと思したり。麗景殿に御ことづけ聞こえ給ふ。大納言「ゆづり聞えて、今宵もえ参るまじく、悩ましくなむと聞こえよ」と宣ひて、大納言「笛少し仕うまつれ。ともすれば、御前の御遊びに召し出でらるる、かたはらいたしや、まだいと若き笛を」と、うち笑みて、双調吹かせ給ふ。いとをかしう吹い給へば、大納言「けし…

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