もののあわれについて855

かたちいとようおはする聞こえありて、心かけ、申し給ふ人多かり。右の大殿の蔵人の少将とかいひしは、三条殿の御腹にて、兄弟たちよりも引き越し、いみじうかしづき給ひ、人がらもいとをかしかりし君、いとねんごろに申し給ふ。いづかたにつけても、もて離れ給はぬ御仲らひなれば、この君だちのむつび参り給ひなどするは、け遠くもてなし給はず。女房にもけ近くなれ寄りつつ、思ふ事を語らふにもたよりありて、夜昼あたりさらぬ…

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