もののあわれについて857

夕つけて、四位の侍従参り給へり。そこらおとなしき若君達も、あまたさまざまに、いづれかはわろびたりつる、皆めやすかりつる中に、立ちおくれてこの君の立ち出で給へる、いとこよなく目とまるここちして、例の、ものめでする若き人達は、「なほことなりけり」などいふ。女房「この殿の姫君の御かたはらには、これをこそさし並べて見め」と聞きにくく言ふ。げにいと若う、なまめかしきさまして、うちふるまひ給へる匂い香など、…

続きを読む