もののあわれについて859

少将は、この源侍従の君の、かうほのめき寄るめれば、これにこそ心寄せ給ふらめ、わが身はいとど屈し、いたく思ひ弱りて、あぢきなうぞ恨むる。 少将 人はみな 花に心を うつすらむ ひとりぞまどふ 春の夜のやみ うち嘆きて立てば、内の人の返し、 女房 をりからや あはれも知らむ 梅の花 ただかばかりに 移りしもせじ 少将は、この源侍従の君が、こうして、姿を見せてい…

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