もののあわれについて861

院へ参り給はむことは、この君だちぞ、「なほもののはえなきここちこそすべけれ。よろづの事、時につけたるをこそ、世の人も許すめれ。げに、いと見奉らまほしき御ありさまは、この世にたぐひなくおはしますめれど、盛りならぬここちぞするや。琴笛の調べ、花鳥の色をもねをも、時にしたがひてこそ、人の耳もとまるものなれ、東宮はいかが」など申し給へば、玉葛「いさや。はじめよりやむごとなき人の、かたはらもなきやうにての…

続きを読む