踊れ歌えやピリピノ・ウェディング 2  (文責;コータ)

 ネグロス島生まれのエイシャが結婚する。  この知らせはバコロド中の親戚一同、マニラで暮らす母親にも届けられた。  なぜその知らせが大きなものだったかというのは、エイシャが一族の中で中心的な存在だったからだ。日本で出稼ぎをし、ネグロスに仕送りを続けた母のおかげで、学業を成し遂げた彼女は、若くして親戚中から頼られる存在となっていた。  そうだった、わたしたちの出会いを話している途…

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踊れ歌えやピリピノ・ウェディング 1    (文責;コータ)

                                        ものを書くという作業は、脳に大きな負担をかける。脳の疲れは全ての疲れの原因、といわれる位で、決して生やさしいものではない。  それを分かっているのなら、書かない方がいい。それではなぜ書くか。伝えたいことがあるからである。伝えたいことがないなら、書くこともない。  松尾芭蕉は、同行者の曾良に、ときおり…

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玉砕199

さて、ここで、アカデミズムが取り上げて、戦争を分析、研究した、書籍から、どのような態度、史観にて、それが記されるのかということを、見る。 例えば、おおまかに、アジア・太平洋戦争、として、書かれた、岩波新書、吉田裕著の、最終章を検証する。 まず何よりも、本書でみてきたような前線と銃後の悲惨で凄惨な現実が、戦後の日本社会の中に、軍隊や戦争に対する強い忌避感や国家が掲げる大義への根深い不信…

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