もののあわれについて887 2017年06月30日 「網代は人さわがしげなり。されど氷魚も寄らぬにやあらむ。すさまじげなるけしきなり」と、御供の人々見知りて言ふ。あやしき舟どもに柴かり積み、おのおのなにとなき世の営みどもに、行きかふさまどもの、はかなき水の上に浮かびたる、誰も、思へば同じごとなる世の常なさなり。我は浮かばず、玉の台に静けき身、と思ふべき世かは、と思ひ続けらる。 供人は、網代は、やかましくしているようだ。だが、氷魚…続きを読む
もののあわれについて886 2017年06月29日 あやしく、夢語り、かんなぎやうのものの、問はず語りすらむやうに、めづらかに思さるれど、あはれに、おぼつかなく思しわたることの筋を聞こゆれば、いとおくゆかしけれど、げに人目もしげし、さしぐみに古物語にかかづらひて、夜を明かしはてむも、こちごちしかるべければ、薫「そこはかと思ひわくことはなきものから、古のことと聞き侍るも、ものあはれになむ。さらば必ずこの残り聞かせ給へ。霧はれゆかば、はしたなかるべき…続きを読む
性について260 2017年06月28日 恋愛に関しては、愛と恋情を混同している矛盾がある。そこでは、単なる情動を愛と錯覚しているのである。 つまり、愛が精神的なものとすると、恋情は、セックスの欲求である。 セックスの欲求を、愛と勘違いする。 多くの人は、そのようである。 私の、知り合いの女性が、末期ガンと診断され、余命いくばくもないという状態の中で、彼女を愛するという、若い医師が現れた。 セックスなど出来ない、状…続きを読む