もののあわれについて887
「網代は人さわがしげなり。されど氷魚も寄らぬにやあらむ。すさまじげなるけしきなり」と、御供の人々見知りて言ふ。あやしき舟どもに柴かり積み、おのおのなにとなき世の営みどもに、行きかふさまどもの、はかなき水の上に浮かびたる、誰も、思へば同じごとなる世の常なさなり。我は浮かばず、玉の台に静けき身、と思ふべき世かは、と思ひ続けらる。
供人は、網代は、やかましくしているようだ。だが、氷魚…
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