踊れ歌えやピリピノ・ウェディング 17 (文責;コータ)

 あたりは熱帯の闇に包まれている。光に集まってきた羽虫がとび、ネグロス島の芳醇な森の香りが漂ってくる。スポットライトを全身にあてられたわたしは、その空気を鼻からゆっくりと吸い込み、息をとめた。  いきなり英語で100名のフィリピン人の前でスピーチである。ことばを探して、ここ数年でいちばんの回転数で脳みそをまわす。  しかし、思いあふれて言葉にならない。宴席の真ん中には、エイシァとフラ…

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