もののあわれについて898

いとど、人のけはひも絶えて、あはれなる空のけしき、所のさまに、わざとなき御遊びの、心に入りて、をかしうおぼゆれど、うちとけても、いかでかは弾きあはせ給はむ。八宮「おのづからかばかりならしそめつる残りに、世ごもれるどちにゆづり聞こえてむ」とて、宮は仏の御前に入り給ひぬ。 八宮 われなくて くさのいほりは 荒れぬとも このひとことは かれじとぞ思ふ 掛かる対面もこのたびや限りならむ、と…

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