もののあわれについて900

まだ暁に出で給ふとても、こなたにわたり給ひて、八宮「なからむほど、心細くな思しわびそ。心ばかりはやりて、遊びなどはし給へ。何事も思ふにえかなふまじき世を、思しいられそ」など、かへり身がちにて出で給ひぬ。二ところ、いとど心細く物思ひ続けられて、起き臥しうち語らひつつ、「一人一人なからましかば、いかで明かし暮らさまし。いま行末も定めなき世にて、もし別るるやうもあらば」など、泣きみ笑ひみ、たはぶれ事も…

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