もののあわれについて909 2017年12月01日 「暮れはてなば、雪いとど空もとぢぬべう侍り」と、御供の人々こわづくれば、帰り給ひなむとて、薫「心苦しう見めぐらさるる御住まひのさまなりや。ただ山里のやうにいと静かなる所の、人も行きまじらぬ、侍るを、さも思しかけば、いかにうれしく侍らむ」など宣ふも、「いとめでたかるべき事かな」と、片耳に聞きて、うち笑む女ばらのあるを、中の宮は、「いと見苦しう、いかにさやうにはあるべきぞ」と見聞きい給へり。 …続きを読む