生きるに意味などない110

小原信氏の、現代人の時間信仰、も、終わりを迎える。 ため息とも吐息ともつかぬ人間の心のうずきに追い打ちをかけるかのように、人はさらに自らを責めさいなむ。 人の世のもろもろの「進歩」ははたしてほんとうに進歩なのだろうか、と。なぜなら、われわれは「生命ながければ恥多」き人生を送っているのであり、こころのなかの河は、時を経て下流へくだるほどよどみ、にごってくるからである。 嘘を知り、女を知り…

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生きるに意味などない109

わたしはかならず死ぬ。あなたも死ぬのだ。だが、いまにも死ぬという可能性がつきまといつつ、私はいまも生きている。そうして死が何かは依然としてわからない。見るものとしての他人の死はあるが、見られるものとしての私の死は、医者も僧侶もまだじっさいには体験していない。人間の生とは、だだっ広い荒野にただひとり丸裸で立っているようなものである。頼るべく役に立つものは何もない。・・・ 小原 死を憶える・…

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生きるに意味などない108

わたしはかならず死ぬ。あなたも死ぬのだ。だが、いまにも死ぬという可能性がつきまといつつ、私はいまも生きている。そうして死が何かは依然としてわからない。見るものとしての他人の死はあるが、見られるものとしての私の死は、医者も僧侶もまだじっさいには体験していない。人間の生とは、だだっ広い荒野にただひとり丸裸で立っているようなものである。頼るべく役に立つものは何もない。・・・ 小原 死を憶える・…

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