もののあわれについて912

まづ一人たち出でて、几帳よりさし覗きて、この御供の人々の、とかう行きちがひ、涼みあるへるを見給ふなりけり。濃き鈍色の単に、萱草の袴のもてはやしたる、なかなかさまかはりて、はなやかなりと見ゆるは、著なし給へる人がらなめり。 まず、一人が立って、出て来て、几帳から覗いて、君のお供の人々が、行ったり来たりして、涼んでいるのを見ていられる。 濃い鈍色の単衣に、萱草の袴が、引き立ってい…

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