もののあわれについて917

御かたはらなるみじかき几帳を、仏の御方にさしへだてて、かりそめに添ひふし給へり。名香のいとかうばしくにほひて、しきみのいとはなやかに薫れるけはひも、人よりはけに、仏をも思ひきこえ給へる御心にて、わづらはしく、すみぞめの今さらに、をりふし心いられしたるやうに、あはあはしく、思ひそめしにたがふべければ、かかる忌なからむ程に、この御心にも、さりとも少したわみ給ひなむ、など、せめてのどかに思ひなし給ふ。…

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