もののあわれについて919

御服などはてて、脱ぎ捨て給へるにつけても、かた時もおくれ奉らむものと思はざりしを、すかなく過ぎにける年月の程を思すに、いみじく思ひのほかなる身の憂さと、泣き沈み給へる御さまども、いと心ぐるしげなり。月ごろ黒くならはしたる御姿、うすにびにて、いとなまめかしくて、中の宮はげにいと盛りにて、うつくしげなるにほひまさり給へり。御髪などすましつくろはせて見奉り給ふに、世の物思ひ忘るるここちして、めでたけれ…

続きを読む