もののあわれについて922

宵すこし過ぐるほどに、風の音荒らかにうち吹くに、はかなきさまなる蔀などは、ひしひしと紛るるおとに、人のしのび給へるふるまひは、え聞きつけ給はじ、と思ひて、やをら導き入る。同じ所におほとのごもれるを、うしろめたしと思へど、常の事なれば、ほかほかにともいかが聞こえむ。御けはひをも、たどたどしからず見たてまつり知りたまへらむと思ひけるに、うちもまどろみ給はねば、ふと聞きつけたまて、やをら起きいで給ひぬ…

続きを読む