もののあわれについて923

あふ人からにもあらぬ秋の夜なれど、程もなく明けぬるここちして、いづれとわくべくもあらず、なまめかしき御けはひを、人やりならず飽かぬここちして、薫「あひ思せよ。いと心憂くつらき人の御さま、見ならひ給ふなよ」など、のちせをちぎりて出で給ふ。われながらあやしく夢のやうに覚ゆれど、なほ、つれなき人の御けしき、今ひとたび見はてむの心に、思ひのどめつつ、例の、出でてふし給へり。 逢う人次第…

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