もののあわれについて925

あけぐれの程、あやにくに霧りわたりて、空のけはひ冷やかなるに、月は霧にへだてられて、木の下も暗くなまめきたり。山里のあはれなるありさま、思ひいで給ふにや、匂宮「このごろの程に、必ずおくからし給ふな」と語らひ給ふを、なほわづらはしがれば、 匂宮 をみなへし 咲けるおほ野を ふせぎつつ 心せばく やしめをゆふらむ と、たはぶれ給ふ。 薫 霧深き あしたのはらの をみなへし 心を…

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