もののあわれについて931

宮はその夜内に参り給ひて、えまかで給ふまじげなるを、人知れず御心もそらにて思し嘆きたるに、中宮「なほかく一人おはしまして、四のかなに、すい給へる御名のやうやう聞こゆる、なほいとあしき事なり。何事も物このましく、立てたる御心な使ひ給ひそ。上もうしろめたげに思し宣ふ」と、里住みがちにおはしますを、いさめ聞こえ給へば、いと苦しと思して、御とのいどころに出で給ひて、御文書きて奉れ給へる。なごりもいたくう…

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