もののあわれについて932

かしこには、中納言殿のことごとしげに言ひなし給へりつるを、夜ふくるまでおはしまさで、御文のあるを、「さればよ」と、胸つぶれておはするに、夜中近くなりて、あらましき風のきほひに、いともなまめかしくきよらにて、にほひおはしたるも、いかがおろかにおぼえ給はむ。正身もいささかうちなびきて、思ひ知り給ふ事あるべし。いみじくをかしげに盛りと見えて、引きつくろひ給へるさまは、ましてたぐひあらじはや、と覚ゆ。さ…

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