もののあわれについて933

明け行く程の空に、妻戸おしあけ給ひて、もろともに誘ひいでて見給へば、霧り渡れるさま、所がらのあはれ多く添ひて、例の、柴積む船のかすかに行きかふあとの白波、「目なれずもある住まひのさまかな」と、色なる御心にはをかしく思しなさる。山のはの光やうやう見ゆるに、女君の御かたちのまほにうつくしげにて、「かぎりなくいつきすえたらむ姫宮も、かばかりこそはおはすべかめれ。思ひなしの、わが方ざまのいといつくしきぞ…

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