もののあわれについて934

道すがら、心苦しかりつる御けしきを思しいでつつ、立ちも帰りなまほしく、さまあしきまで思せど、世の聞こえをしのびて、帰らせ給ふほどに、えたやすくも紛れさせ給はず。御文は明るく日ごとに、あまたかへりつつ奉らせ給ふ。おろかにはあらぬにや、と思ひながら、おぼつかなき日数のつもるを、いと心づくしに見じと思ひしものを、身にまさりて心ぐるしくもあるなか、と、姫宮は思し嘆かるれど、いとどこの君の思ひしづみ給はむ…

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