もののあわれについて937

かしこには、薫「論なく中宿し給はむを、さるべきさまに思せ。さきの春も、花見に尋ね参りこしこれかれ、かかるたよりにことよせて、しぐれの紛れに見奉りあらはすやうもぞ侍る」など、こまやかに聞こえ給へり。御簾かけかへ、ここかしこかき払ひ、岩がくれにつもれる紅葉の朽葉すこしはるけ、鑓水の水草はらはせなどぞし給ふ。よしあるくだもの、さかななど、さるべき人なれども奉れ給へり。かつはゆかしげなけれど、いかがはせ…

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