もののあわれについて938

「今日はかくて」と思すに、また、宮の大夫、さらぬ殿上人など、あまた奉れ給へり。心あわただしく、くちおしくて、帰り給はむそらなし。かしこには御文をぞ奉れ給ふ。をかしやかなる事もなく、いとまめだちて、思しける事どもをこまごまと書き続け給へれど、「人目しげく騒がしからむらに」とて、御かへりなし。「数ならぬありさまにては、めでたき御あたりにまじらはむ、かひなきわざかな」と、いとどおぼし知り給ふ。よそにて…

続きを読む