もののあわれについて939

かしこには、過ぎ給ひぬるけはひを、遠くなるまで聞こゆるさきの声々、ただならず覚え給ふ。心まうけしつる人々も、いとくちおしと思へり。姫宮はまして、「なほおとに聞く月草の色なる御心なりけり。ほのかに人のいふを聞けば、男といふものは、そらごとをこそいとよくすなれ。思はぬ人を思ふ顔にとりなす言の葉多かるものと、この人数ならぬ女ばらの、昔物語に言ふを、さるなほなほしきなかにこそは、けしからぬ心あるもまじる…

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