もののあわれについて940

宮は、立ちかへり、例のやうにしのびて、と、いでたち給ひけるを、内に、「かかる御しのび事により、山里の御ありきも、ゆくりかに思し立つなりけり。かろがろしき御ありさまと、世人も下にそしり申すなり」と、衛門の督のもらし申し給ひければ、中宮もきこしめし歎き、上もいとど許さぬ御けしきにて、「おほかた心にまかせ給へる御里住みのあしきなり」と、きびしき事ども出で来て、内につとさぶらはせ奉り給ふ。左のおほいとの…

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