もののあわれについて942

宮の御心もゆかでおはし過ぎにし有様など、語り聞こえ給ひて、薫「のどかに思せ、心いられしてな恨み聞こえ給ひそ」など教へ聞こえ給へば、姫宮「ここには、ともかくも聞こえ給はざめり。なき人の御いさめは、かかる事にこそ、と見侍るばかりなむ、いとほしかりける」とて、泣き給ふ気色なり。いと心苦しく、我さへはづかしき心地して、薫「世の中はとてもかくても、一つさまにて過ぐすことかたくなむ侍るを、いかなる事をも御覧…

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