もののあわれについて944

かく言ふは神無月のつごもりなりけり。「月もへだたりぬるよ」と、宮は静心なく思されて、今宵今宵と思しつつ、さはりおほみなる程に、五節などとく出できたる年にて、内わたり今めかしく紛れがちにて、わざともなけれど過ぐい給ふ程に、あさましく待ちどほなり。はかなく人を見給ふにつけても、さるは御心に離るる折なし。 このことがあったのは、神無月、十月の下旬だった。行かないまま月も変わってしまう」と…

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