もののあわれについて945

暮れぬれば、例の、人々「あなたに」と聞こえて、御湯漬など参らむとすれど、薫「近くてだに見奉らむ」とて、南の廂は僧の座なれば、東面の今少しちかきたかたに、屏風など立てさせて入りい給ふ。中の宮苦しと思したれど、この御中を「なほもてはなれ給はぬなりけり」と皆思ひて、うとくもえてもなし隔て奉らず。初夜より始めて法花経を不断に読ませ給ふ。声尊きかぎり十二人して、いと尊し。 日が暮れ、いつもの…

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