もののあわれについて954

いとさかりににほひ多くおはする人の、さまざまの御物思ひに、少しうちおもやせ給へる、いとあてになまめかしきまさりて、むかし人にも覚え給へり。ならび給へりし折は、とりどりにて、さらに似給へりとも見えざりしを、うち忘れては、ふとそれかと覚ゆるまでかよひ給へるを、「中納言殿の、からだにとどめて見奉るものならましかば、と、あさゆふに恋ひきこえ給ふめるに、同じくは見え奉り給ふ御すくせならざりけむよ」と、見奉…

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