もののあわれについて955

こまやかなる御物語どもになりては、かの山里の御ことをぞ、まづはいかに、と、宮は聞こえ給ふ。中納言も、過ぎにしかたのあかず悲しきこと、そのかみより今日まで思ひの絶えぬ由、をりをりにつけて、あはれにもをかしくも、泣きみ笑ひみとか言ふらむやうに、聞こえ出で給ふに、まして、さばかり色めかしく、涙もろなる御くせは、人の御上にてさへ、袖もしぼるばかりになりて、かひがひしくぞあひしらひ聞こえ給ふめる。空のけし…

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