国を愛して何が悪い225

寝るが中なる夢の世は、今に始めぬ習ひとは知りながら、数々目の前なる心地して、老の涙もかきあへねば、筆の跡さへ滞りぬ。神皇正統記 北畠親房は、後醍醐天皇の死のくだりまで来た時に、このような感慨を記して、落涙した。 正中の変から、笠置山潜行、隠岐への流刑、脱出と建武中興の成立、その破綻から吉野山への遁入、そして崩御と、波乱にとんだ十年の歳月を省みての、万感の思いである。 親房は王朝の残夢に生き…

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