もののあわれについて964

御まへの菊うつろひはてて盛りなるころ、空のけしきのあはれにうちしぐるるにも、まづこの御方に渡らせ給ひて、昔のことなど聞こえさせ給ふに、御いらへなども、おほどかなるものからいはけなからず、うち聞こえさせ給ふを、うつくしく思ひきこえさせ給ふ。かやうなる御さまを見知りぬべからむ人のもてはやし聞こえむも、などかはあらむ。朱雀院の姫君を、六条院にゆづり聞こえ給ひし折の定めどもなど、思しいづるに、「しばしは…

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