もののあわれについて965

さて打たせ給ふに、三番に数ひとつ負けさせ給ひぬ。主上「ねたきわざかな」とて、「まづ今日はこの花ひとえだ許す」と宣はすれば、御いらへ聞こえさせで、おりて、おもしろき枝を折りて、参り給へり。 薫世の常の 垣根ににほふ 花ならば 心のままに 折りて見ましを と奏し給へる、用意あさからず見ゆ。 主上霜にあへず 枯れにし園の 菊なれど 残りの色は あせずもあるかな と宣はす。 さて、…

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