もののあわれについて973

中将の参り給へるを聞き給ひて、さすがに彼れもいとほしければ、いで給はむとて、匂宮「いまいととく参りこむ。ひとり月な見給ひそ。心空なればいと苦し」と聞こえおき給ひて、なほかたはらいたければ、隠れ方より寝殿へ渡り給ふ。御うしろでを見送るに、ともかくも思はねど、ただ枕の浮きぬべきここちすれば、「心憂きものは人の心なりけり」とわれながら思ひ知らる。 頭の中将が、お邸においでになったと、お聞…

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