もののあわれについて977

その日は、「きさいの宮なやましげにおはします」とて、誰も誰も参り給へれど、御かぜにおはしましければ、「ことなる事もおはしまさず」とて、おとどは昼まかで給ひにけり。中納言の君さそひ聞こえ給ひて、ひとつ御車にてぞ出で給ひにけり。こよひの儀式、いかならむきよらをつくさむ、と、思すべかめれど、かぎりあらむかし。この君も、心はづかしけれど、したしき方のおぼえは、わが方ざまにまたさるべき人もおはせず、物のは…

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