もののあわれについて980

女君もあやしかりし夜のことなど、思ひいで給ふ折々なきにしもあらねば、まめやかにあはれなる御心ばへの、人に似ずものし給ふを見るにつけても、さてあらましを、とばかりは、思ひやし給ふらむ。いはけなき程にしおはせねば、うらめしき人の御ありさまを思ひくらぶるには、何ごともいとどこよなく思ひ知られ給ふにや、常にへだて多かるもいとほしく、「物思ひ知らぬさまに思ひ給ふらむ」など思ひ給ひて、今日はみすのうちに入れ…

続きを読む