もののあわれについて986

男君も、しひて、思ひわびて、例の、しめやかなる夕つ方、おはしたり。やがて端に御しとねさしいでさせ給ひて、中の宮「いとなやましき程にてなむ、え聞こえさせぬ」と、人して聞こえいだし給へるを聞くに、いみじくつらくて、涙のおちぬべきを、人目につつめば、しひて紛らはして、薫「なやませ給ふをりは、知らぬ僧なども近く参り寄るを、くすしなどの列にても、御簾のうちには候ふまじくやは。かく人づてなる御せうそこなむ、…

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