もののあわれについて990

この度ばかりこそ見め、と思して、立ちめぐりつつ見給へば、仏も皆かの寺に移してければ、尼宮のおこなひの具のみあり。いとはかなげに住まひたるを、あはれに、いかにして過ぐすらむ、と見給ふ。薫「この寝殿は変へて作るべきやうあり。作りいでむ程は、かの廊にものし給へ。京の宮に取り渡さるべき物などあらば、荘の人召して、あるべからむやうにものし給へ」など、まめやかなる事どもを語らひ給ふ。他にては、かばかりにさだ…

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