もののあわれについて992

枯れ枯れなる前栽の中に、尾花の、物より異にて手をさし出でて招くが、をかしく見ゆるに、まだ穂に出でさしたるも、露を貫ぬきとむる玉の緒はかなげにうちなびきたるなど、例の事なれど、夕風なほあはれなる頃なりかし。 匂宮穂にいでぬ 物思ふらし しのすすき 招く袂の 露しげくして なつかしきほどの御衣どもに、直衣ばかり着給ひて、琵琶を弾きい給へり。黄鐘調のかき合はせを、いとあはれに弾きなし給へば、女君も…

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