もののあわれについて996

かかる御心づかひを、内にも聞かせ給ひて、程なく打ち解け移ろひ給はむを、いかがと思したり。帝と聞こゆれど、心の闇は同じことなむおはしましける。母宮の御もとに御使ありける御文にも、ただこの事をなむ聞こえさせ給ひける。故朱雀院の、とりわきて、この尼宮の御事ももとのままにて、奏せさせ給ふ事などは、必ず聞こしめし入れ、御用意深かりけり。かくやむごとなき御心どもに、かたみに限りもなくもてなしづきさわがれ給ふ…

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