もののあわれについて998

宮の御方より、粉熟まいらせ給へり。沈の折敷四つ、紫檀の高坏、藤の村濃の打敷に、折枝縫いたり。銀の様器、瑠璃の御盃、瓶子は紺瑠璃なり。兵衛の督、御まかなひ仕うまつり給ふ。御盃参り給ふに、おとど、しきりては便なかるべし、宮達の御中に、はた、さるべきもおはせねば、大将に譲りきこえ給ふを、はばかり申し給へど、御気色もいかがありけむ、御盃ささげて、「をし」と宣へる声づかひもてなしさへ、例の、公事なれど、人…

続きを読む