イスラエルと、アラブ諸国の衝突である。
アラブ諸国の産油国で作る、石油輸出国機構、OPECは、欧米、日本といった、親イスラエル諸国に、制裁を加えるとして、原油生産の5パーセント削減、原油価格の21パーセント引き上げの、二つの政策を発表した。
日本は、当時、アラブの石油に80パーセント依存していた。
ゆえに、生産はダウンし、物不足になり、物価は、軒並み値上げした。
これを、石油危機、石油ショックという。
国民生活は、耐乏を要求された。
11月に入ると、主婦の間に、噂が流れた。
トイレットペーパー、洗剤が、不足するというものである。
人々は、スパー、デパートに殺到し、さながら、パニック状態になった。
日用品が、近い将来、無くなるという、噂も立った。
商社の売り惜しみ、買占めも行われ、物価は、一斉に値上がりした。
資源の少ない国、日本を意識するようになる。
金では、解決がつかない問題である。
テレビは、深夜番組を止め、銀座、新宿などの繁華街では、深夜にネオンが消えた。オフィスでも、電気の節約が叫ばれ、自動車に乗るのも、差し控えるような、風潮を生んだ。
さて、それに近いことが、東日本大震災の際にも、経験した。
だが、日本人は、忘れる。
確実に、そういうことを、忘れるのである。
当時、高度成長を満喫していた国民は、冷水を浴びせられた状態になった。
家に籠っているのが、美徳とされた。
そして、この後、敗戦後、一貫して伸びてきた個人消費が、初めて、対前年比ダウンするという、状態になった。
この時、田中内閣は、エネルギーの10パーセント節約を提唱する。また、国民生活安定緊急措置法、石油需給適正化法を、施行して、売り惜しみ、買占めをチェックした。
三木武夫副総理は、即座に産油国を訪ねて、石油を一定量確保する交渉に入った。更に、アラブ諸国に対する、友好政策を採ることを、明言したのである。
この、石油ショックは、日本人に、改めて、自省を促すことになった。
だが、何度も言う。忘れる。
批判する事は、大切なことであるが、その前に、自省することの方が、真っ当である。
果たして、日本人は、その歴史的に事実から、学んだのだろうか・・・
疑問である。
戦争を忘れ、我が身のことだけに、かかりっきりになり・・・
戦没者の追悼慰霊も、忘れ、ただ、今と、自分の生活だけを、考える。
そして、そのように教えられた、ようである。
戦前の日本は、悪い国であり、二度と、戦前に戻ってはならない。
日本は、侵略国であり、アジアにとてつもない迷惑をかけた。
日本には、誇るべきものが、何一つ無い。
等々・・・
あの、GHQの占領政策が、今も残る国、日本である。
更に、その通りに、進んできた国、日本である。
昭和史の中には、その残骸が多々あるが、今も、それは、続いている。
決して、誇ることが出来ない国、日本という意識は、今も、引き続き、占領軍の施政のままである。
日本の、二千年以上に渡る、伝統とその歴史を、まともに教えることなく、国民国家として、生きているつもりでいる。
日本の民主主義が、アメリカのデモクラシーから与えられたと、思い込む。
実際は、日本には、天皇の民主主義というものが、存在していた。
何せ、天皇は、国民を公宝、おうみたから、と呼び、その国民の声を政治に生かすことを、権力者に、お言葉として、述べられて、権力者は、そのお言葉に従う。
日本の、天皇民主主義を、伝えない、教えない人々がいる。
さて、石油ショックと、東日本大震災にても、日本の危機があった。
その、教訓を生かしているのか・・・
確かに、一部の間では、生かされているが・・・
喉もと過ぎれば、である。
大震災の際に、絆、という言葉が、全国に流れた。
誠に、絆、というものを、考えたのであろうか。
その、絆、は、一体、誰と誰の、絆、だったのか・・・
今生きている人と、人の絆だけだとしたら・・・
呆れる。
絆、とは、過去の人から、現在の人、そして、未来の人に、対する、絆、というものである。
その、連綿とした、伝え、である。
伝えることは、いのち、である。
今、日本は、伝えるものを、持っているのか・・・
本当は、持っている。
だが、それを、真っ当に、伝えていないのである。
伝えなければ、いのち、の断絶である。
気づきを促す。