性について284

昨年、一橋大学大学院生の、男子学生が、校舎から、飛び降り自殺をした。その原因は、司法試験を受験するグループの一人に、ゲイであることを告白し、更に、その相手に、交際を申し込んだ。

だが、友人としての付き合いを続けると言われ、更に、その友人が、グループの男子数名に、彼のことをバラしたのである。
常々、その仲間の中には、ゲイは嫌だという者もいて、彼は、それで絶望しての、自殺である。

とても、悲しい事件である。
万が一、彼が、性同一性障害だったら・・・と考えてしまう。

単に、ゲイと意識すると、男性同性愛者ということになる。
それも、勿論、少数者であるが。

もし、告白を受けた友人が、そのことを、秘密にしていたら・・・
自分の心にだけ、留めていたらと、思う。

カミングアウトすることは、とても、勇気がいるのだ。

さて、同じように、男性から女性への、MTFの男性も、時に自殺を、考える。その時に、理解者がいれば、助かる。

実例
私も、39歳になるまで「男」になろうと必死にがんばってきました。女らしいこと、トランスに結びつくことからは目をそらし、ひたすら「男」になろうと努力してきました。
しかし長年の無理が限界にきてしまいました。性器を切りつけるという自傷行為の形で爆発してしまったのです。今、私はホルモンをはじめ、手術を終えてようやく本来の自分自身を取り戻しました。心も安定してきました。
妻と最愛の息子、仕事と、失ったものは多いけれど、女性として暮らしはじめて安らぎを手にすることができました。私はサバイサーです。サバイサーというのは、心に深い傷を負いながらも「生き残った人」という意味です。私もサバイサーの一人なのです。そして、サバイサーであるがゆえに語るべきこと、歌に託すべきものがあると思っています。

トランス・アーティストとして、ミュージシャンであり、女優をしているという。

幼稚園、小学と、孤立していた。
小学四年生の時に、典型的なMTFの子が転校してきて、その子と仲良くなる。

私が一年生くらいのときから、父が、「この子がこんなになったのは、お前のせいだ、と母を責め立てたという。
そのせいで、中学、高校は、カトリック系の男子校に入学し、寮生活をする。

勿論、好きになるのは、男の子である。
中学生の頃から、全校のアイドル的存在の子がいて、その子と大学になるまで、友人として、付き合う。

大学を卒業して、東京に出る。
ミュージシャンになりたいと、専門学校に通うが、新宿二丁目は、目と鼻の先だったが、決して、足を踏み入れなかった。

女性になりたいという気持ちが、全開してしまいそうで、怖かったという。

後にトランスをはじめるまで、お化粧をするとか、スカートや女性用の下着を身に着けるということはしませんでした。それをしたらおしまいだって思っていましたから。そのときはまだ、GIDという言葉は知りませんでした。自分は同性愛者なのかなと思っていました。

会社に勤めて、その会社がタイに代理店を置くことで、タイに出掛けた際に、ショーを見せられた。
その時、トランスした男の子と知り、衝撃を受けた。

だが、結婚し、31歳のとき、息子が生まれる。

結婚当初の彼女は、私のことを「あまり男らしくないけど、そういうところがいい」と言ってくれていました。ところが、子供が生まれると、父親としての役割を求めるようになりました。私に男性的役割を強く求めるようになりました。「男として責任をもちなさい」とか「父親としての自覚を持ちなさい」ということを言うようになりました。それに答えようと努力しましたが、だんだん追い詰められていきました。彼女にしてみれば会社を辞めたことも不満だったようですし、転職した予備校の講師の給料が安いということも不満だったようです。

そして、男になるために、追い詰めていった日々である。

男として、生きていくことに限界を感じて、自傷行為に走る。
ペニスを切りつけて、血が出る。
気づくと、病院のベッドである。

もうすでに、男として暮らすことに限界が来ていました。この時点でトランスを決意していれば、あるいは専門医に受診していれば、と今になって思いますが、現実ではまだ男としてがんばろうとしていました。

その一年半後のこと・・・
新宿二丁目に向かい、走り出していたという。

その半月後、妻は、子供を連れて、家を出た。
男としての、暮らしが、終わったと思った。

それから、トランスを開始し、ホルモン治療をしてくれる医者を見つけて、お化粧、洋服なども女性化して行く。

39歳前後であるから、大変なことだったと、想像する。

そして、整形外科で手術を受ける。
今、つき合っている彼は、体のデカイ女にしか見えない、と言う。

私は今、ようやく自分らしく生きていけるようになりましたが、ここまでくるには長い年月と大きな犠牲を費やしてしましました。

結婚後に、その意識に気づき、戸惑い、そして、悲劇的な状況に陥る人が多い。
勿論、ゲイにも、結婚後に気づく人がいる。

結婚後に、ゲイに目覚めた人の相談を受けたことがある。

子どもも出来てからの、目覚めであるから、戸惑いと、怖れがある。
更に、妻との性生活が、辛いというもの。

そして、結局、離婚して、ゲイの道を生きるという傾向がある。
だが、子供は、可愛いのである。

多くの結婚後のゲイ自覚の人は、子供の親権を取られる。

MTFの人たちも、子供は、取られてしまうのである。
ただ、ある程度の年齢に達した子供たちは、理解する能力がある。
それが、救いだ。