4年ぶりのほほ笑み 1 タイ旅日記 平成30年5月--文責;コータ

 平成30年の5月9日より20日まで、タイ王国を訪問した。はじめは木村天山と、慰霊活動も――と考えていたのだが、スケジュールが合わず、あきらめざるを得なかった。そういうわけで今回は(前回のフィリピンの旅に引き続き)かつてのテラの会事務局長、コータの一人旅となった。

 タイ王国とわたしとの付き合いは長い。18才ではじめてインドへ渡航したとき、中継地として寄った。当時は、インドへの直行チケットを、日本で手配するとやたら高くついたので、まずタイ往復チケットをとって、カオサン通りという旅行者の集まる通りでインド往復を手配するのが普通であった。

 怪しげな、裏通りのカウンター。手書きの航空券発券証を、詐欺ではないよな、とひやひやしつつ発行してもらったあの日が懐かしい。

 今は昔。現代は、何でもインターネットで手配する時代である。

 今回の旅も、ネット上で運営する旅行会社を通じて、航空チケットから保険まで手配した。安くて確実、カウンターでの煩わしい作業もなし。

 便利になった。いや、便利になり過ぎた面もある。今回の旅を通じて痛感したのは、ネット予約がすさまじい勢いでアジアを席捲していること。それを知らずに旅をするのは大損をこくということ。

 格安航空会社でのタイ旅行と、スマートホン(厳密にいうと、ちょっと違う機種だけど)を駆使してのホテル探し。今回の旅はまこと今風な旅となった。そんな少し未来的な旅をじっさいにやってみて、ここは良い、ここは悪いと具体的にいえるようになった。旅の情報を得たい人は、参考にしていただくと幸いである。

 さて、タイへ行こうと思い立ってから、ネット発券のサイトで、日程と価格とにらめっこする日々が続いた。目がまっ赤になるまで調べつづけた。というのは、大手のタイ航空やJALなどといっしょに、LCC(格安航空会社)まで表示されるからである。

 目を疑うほど安い。しかも直行便もある。タイ行きでいうと、エアエイジアXとスクートが最有力候補である。日によってプロモーション価格があり、出国日と帰国日を、安い日に合わせられれば、純粋にチケット代だけなら、往復2万円と少しでとれてしまう。

 ただし。LCCと大手では、あらゆることが異なってくる。安く滑走路が使える時間帯があるようで、やはり旅行しやすい楽な時間は、大手にとられている。つまり客にとってはいくらか辛い移動となる事を、覚悟しなくてはならない。

 また、毛布や、機内食から、一杯の水まで追加料金がかかる。初めて使うひとにとっては不安材料だ。わたしはたまたま、タイでLCCが操業しはじめた頃から、しょっちゅう使っていたので、およその想像はついた。

 タイのLCCは安かろう悪かろう、なので心臓がとび出るかという思いもしてきた。どことはいわないがAではじまる赤い制服の会社。キャビンアテンダントが、ハイヒールでキックしてハッチを開けた時は、あごが落ちかけた。むろんタイでの話。日本に就航している同系列の会社は、航空法が厳しいのでそんな事はないだろう(あったらまずい)。

 そのA社とならび、タイ全土にLCC網を張っているのがN社。全体を黄色を基調としたカラーで統一している。わたしはこちらの方が性にあう。受付係から、キャビンアテンダントまで、落ち着いた雰囲気で、機内もA社のように詰め込み過ぎない。

 そのA社とN社が、日本に進出してきて、名前を変え、エアエイジアXと、スクートになった。ごく簡単にいえばそういう事になる。

 それに加えて、空港が羽田か成田か、大手とLCCではそこも違う。大手は羽田発着便も多い。首都圏からなら、羽田の方が断然楽である。成田へ行くなら、かなりの移動時間と、往復6千円以上の運賃も計算に入れる必要がある。朝早い便だと、けっこう厳しい。

 LCCはとうぜんながら成田発着便しかない。また、到着する空港も、100年の歴史を誇る(タイ人のタクシー運転手によれば)ドンムアン空港。きこえはいいが要はボロッちい。大手はスワンナプーム空港に着く。かつてイケイケのタクシン首相時代に莫大な資金を注ぎ込み建設したもの。

 バンコク中心部への行き方は、どちらもたいして変わらないのではあるが、トイレが詰まっていたり、良くいえばタイ情緒に到着そうそう浸れるのがドンムアン。

 そうした事情をさまざまな面から吟味して、チケットをとる前から疲れ果てた。考え過ぎた自分も悪いのだけれど、ネット予約だと、カウンターで相談しながら決める事ができない。つまりこちらのニーズを引き出してくれる専門スタッフがおらず、全て自分で選択しなくてはならない。ネット時代に訪れた、新しい苦悩だ。

 少々お金がかかっても、楽な旅にしたいですか?
 それとも、必要最低限でいいので、とにかく価格を抑えたいですか?

 などなど、かるい会話を交えつつ、旅程を誰かと相談するのは楽しいし、決断も早い。
 ネットではそれができない。チャット(会話機能)も備わってはいるけれど、使いなれていないとつらい。

 さんざん悩んだ挙句LCCのスクートにした。タイのN社の系列なので最低限とはいえ、ぞんざいな扱いはされないはずと踏んだのと、たまたま日程上、安いチケットがとれたからである。

 結果は正解だった。とはいえ、予約の時に少しトラブルになりかけたのと、周到な準備が必要だったので、その分の疲労感を考え合わせると、あくまで及第点とエラそうにいっておこう。

(続く)