玉砕256

マックス・フォン・シュラーの、「太平洋戦争」アメリカに嵌められた日本、の中に、無知で傲慢で残虐な国、という章がある。


勿論、アメリカのことであるが、それは、キリスト教白人諸国のことも、言うと、私は言う。


アメリカはイギリスとドイツの文化が半々くらいだから、ドイツに対する知識はイギリスに対する知識とほぼ同じレベルと言っていい。ドイツ系アメリカ人の数も多く、アメリカ軍のなかでドイツ語を話せる人が大勢いたし、第二次世界大戦の英雄で戦後、大統領になったドワイト・アイゼンハワーはドイツ系である。

マックス


私は、イギリス文化の方が、アメリカに影響を与えていると、考えていたが、ドイツ文化も、半々というから、少し驚く。


そして、面白いことは、アメリカ人は、ローマ帝国の子孫だと、位置づけているという。

ヨーロッパの文化は、ローマ帝国からアメリカまで続くというのである。


まあ、アメリカの建築物を見れば、それが解る。

ローマ風の様式が多く、ニューヨーク市のメトロポリタン美術館を筆頭に、ヨーロッパの古代文明の建築を模した、アメリカの博物館は、枚挙にいとまがない。


つまり、ヨーロッパ人は自分たちと同じだ、という意識がアメリカにあり、日本人は、文化的にも、歴史的にも、共有するものがない。そして、黄色人種である。

この日本人に対する、意識の中に、同じ人間ではないという感覚が含まれていると、マックスは、言う。


例えばアメリカ兵の間で、日本兵の骸骨を「おみやげ」にすることがごく当たり前に行われていた。

マックス


実に、呆れるし、おぞましいことである。


ヨーロッパの戦争で、ドイツ兵の遺体を残酷に扱った例が一つだけ残っている。一人の兵士がドイツ兵の頭蓋骨を戦車の上に置いたというものだ。このとき、仲間から「あれはやめなさい」と窘められている。しかし日本兵に対して、そういう配慮はなかった。・・・

マックス


なお、こういうことをやっていたのは前線の部隊よりも、戦闘が終わったあとに入って来て滑走路をつくったり、基地をつくったりする部隊だ。彼らは「本当に戦っていない」というコンプレックスを持っている。それで日本人の遺体を見つけると、「おみやげ」にするのだ。そもそも前線の部隊は戦うことに精一杯で、「おみやげ」を探す余裕などあるわけがない。

マックス


つまり、人種差別の最たるものである。


同様のことは、ベトナム戦争でも話題になった。殺されたベトナム兵の耳や指を「おみやげ」として切り取り、持ち帰ったのだ。イラク戦争でも・・・

アメリカ人が日本人やベトナム人を人間と考えていなかったように、イスラム教徒に対してもそうなのかもしれない。

マックス


ジョン・ダワーの「容赦なき戦争」は、プロパガンダとして使われた戦争中の漫画で、日本兵がサルのように描かれたことを紹介しているが、当時は白人が一番で、有色人種、黒人、動物と、白人ではない人種が段々動物に近くなるというランクづけがあった。・・・

マックス


あの、第二次世界大戦、大東亜戦争は、今にしてみれば、人種差別との、戦争でもあったと、言える。


アメリカの、残虐性は、降伏しようとした日本兵の半分が殺された、という事実である。


アメリカの国際法違反は、数々ある。

それを上げていれば、キリがないほどだ。


勿論、戦争時は、日本兵も、残虐なことをしたことは、事実である。

しかし、その残虐さの形が、違う。


日本兵も、フィリピンのネグロス島、バコロド付近では、軍部の施設を置いた。そこで、現地人を、スパイとして、斬り殺した。

だが、数は、多くないのである。あくまでも、見せしめのためである。


フィリピン第三の、激戦地である。

当然、アメリカ軍に、日本軍の動向を、密告する者もいたのである。


これは、私が慰霊に出掛けて、確認したことである。


さて、アメリカ兵は、日本兵を、道徳がない残虐な殺人機械と、称したというが、自分たちの残虐さは、知らないのか、残虐だと思わないのか・・・


これはジョン・ダワーの「容赦なき戦争」に出ている話だが、具体的なケースを記した英語のウェブサイトもある。

その中には、

ある軍曹が「人を殺す経験がなかった。私も日本人を殺したい」と上官に言うと捕虜の一人を引っ張り出し、その場で「ナイフで切れ」と言って喉を斬らせた。

飛行機で捕虜を運んでいるときに、アメリカ兵が笑いながら捕虜を落下傘なしで飛行機から落とした。


こういう事件が部隊長の耳に入ったとき、部下に「私は聞きたくない。あれはなかったことにしましょう」と言うこともあった。そうすると、事件そのものが隠された。

マックス


アメリカが「民主主義国の正義のために」と言って戦ったとき、戦争で行った犯罪は取り上げないことが多い。もし弁護士がアメリカ兵の悪事を探そうとすれば、アメリカの軍隊は必ず妨害する。妨害どころか、弁護士は身の危険を感じることになる。しかも、他国の兵が行った残虐な行為と同じような行為をアメリカ兵が行った場合は罪だとは言わず、認めてしまうこともある。

マックス


つまり、都合に合わせて、何とでもしてしまうということである。


それは、白人が一番なので、その他の人種は、別に生かすも、殺すも、同じなのである。


その差別感覚が、米軍の日本統治時代でも、散々に行われた。

例えば、五歳の女の子を、犯すなどと言う行為である。

何でも、許された。


その、占領政策の、アメリカの罪は、全く無いものと、今も、されているのである。