日本人の多くの、それなりの人たちが、日本は無謀な戦争を戦った、と言うが、果たして、そうなのか・・・
そこで、マックス・フォン・シュラー氏の、見方を見ることにする。
アメリカがフィリピンを失うことを本当に想定していたかどうかはわからないが、真珠湾攻撃のあとでフィリピン方面に海軍は出なかった。現実問題としてそれは無理だったが、もしオランダ領だったインドネシアからフィリピン周辺にアメリカ海軍が出ていたら、日本海軍によって壊滅的な打撃を受けたのではないかと思う。それほど日本軍は卓越した戦力を持っていた。
マックス
戦力、技術力からは、日本軍の方が、優勢だったのである。
それに関しての、説明は、省く。
ただ、
こういう「カタログ比」ではなく、現実に起こったことで比較してみたい。1942年フィリピンのコレヒドール島を日本軍が攻撃したとき、一日でアメリカ軍が降伏した。ところが、1945年アメリカが奪回したときは十日かかっている。
マックス
と、いうことだ。
軍艦にしても航空機にしても、そして軍人にしても、個々の能力を比較したら日本軍がアメリカ軍を凌いでいたと言って間違いではない。
マックス
それでは、何故、日本は負けたのか・・・
それは、二つ理由がある。
その一つは、アメリカには、「つくる力」があり、次から次へと、新造艦を作り出したことである。
そして、日本は、失った軍艦を補填する力に欠けていた。
つまり、日本には、物が足りない。
もう一つの、理由は、通信、暗号を含めて、情報を守ることが、日本は劣っていたからである。
スティネットが「真珠湾の真実」で書いていることだが、日本が暗号コードを変えても、三日間ぐらいでアメリカは解読した。
マックス
と、いうことで、アメリカ海軍には、暗号研究部隊に、140名の日本語が解る人員がいたのである。だから、暗号を変えても、すぐに解読出来たのである。
情報管理の面では、真珠湾に向かうときに無線を封鎖しているはずだったのに、疑心暗鬼から無線を使いまくり、アメリカに傍受されていたとスティネットは指摘している。単冠湾で日本の空母が集まっているのをアメリカ海軍が知っていたし、それがハワイに移動することもわかったという。実は、この海軍のなかでもお互いに疑心暗鬼だったという点は、東京裁判における「共同謀議」かせなかったことを証明しているのだが。
マックス
つまり、アメリカが指摘した、日本の共同謀議は、無かったのである。
それが、あるということで、裁かれている。
さて、マックスは、戦争に対する、考え方が、日米では、全く違ったものだったと指摘している。
つまり、アメリカは、戦いを積み重ねて、経済も含めて、破戒行為を計画する。しかし、日本は、日露戦争と同じように、一つの会戦で大勝すると、後は、交渉にて、戦争を終結させるという、考え方である。
従って、日本軍は、アメリカの貨物船、輸送船などを、攻撃しなかった。だが、アメリカは、逆である。日本の貨物船、輸送船を攻撃して、沈没させた。
潜水艦を使って輸送船を沈めるという戦術を駆使しなかったのは、日本人が戦争と経済の関係を理解できなかったためであり、それは歴史的に「武士の戦争」の影響があったと私は思う。日本の城は民間人を囲い込まず、戦争は武士同士で行った。だから民間人の生活にも打撃を与える経済的な戦争や民間人を攻撃対象とする全体的な戦争の発想が、アメリカ人のように出てこなかったのではないだろうか。
マックス
・・・日本の敗因は大小さまざまあるが、一つだけ強調しておきたいのは、日本がアメリカと無謀な戦いをしたわけではないということだ。日本は考え得る限りの最高の戦略を選択した。それは、アメリカ本土を制圧するのは不可能と認識し、西太平洋の海域でアメリカの反撃に対する緩衝の拠点を築いたことである。この戦略は成功に近いところまでいっていた。
マックス
新聞に、どこかの島に上陸して何千人のアメリカ人が死んだという記事が繰り返し載る。「この戦争はいつ終わるのか」という厭世気分は無視できないレベルに達しようとしていた。政府は、戦争を継続するための国内向けプロパガンダをつくらなければならないほどだった。そのプロパガンダの一つが「父親たちの星条旗」という映画に出てくる。
マックス
つまり、アメリカ側も、大変だったということだ。
それほどに、日本軍は、戦ったのである。
さて、無謀な戦争を推し進めたのは、誰か・・・
それは、アメリカである。
もう何度も、書いたが・・・
日本は、ただ、引きずり込まれたのである。
そして、日本軍は、アメリカ人が驚くほどに、戦争に強かった。
だから、日本が敗戦しても、尚、日本を怖れた。
それが、マッカーサーによる、占領政策で、見事に結実した。
日本と、その精神を、玉砕させる、である。
「世界のトップに君臨し、世界で一番素晴らしい国」の国民だと自らを信じる傲慢なアメリカ人だが、日本に対して「恐れ」を持っている。理由は複数ある。
マックス
まず、アメリカと本気で戦った国ということだ。フランク・ノックス海軍長官は「日本との戦争は半年で終わる」と言ったが、実際には四年もかかった。しかも、硫黄島でも沖縄でもそうだけれど、アメリカ兵が相当死んでいる。日本が本土決戦をしていたら、アメリカの軍人はもっと死んだだろう。アメリカにそこまで挑戦した国はない。いまでも「真珠湾を忘れるな」と言うのは、日本を怖がっている表れだと私は思う。
マックス
そのようである。
アメリカと、互角で戦った国は、日本のみである。
そして、戦ったからこそ、植民地にならずに、今、現在の日本がある。
しかし、それでも、アメリカは日本に軍隊の基地を置き、監視を続けている。
恐れの、現れである。
そして、それが、また、見えない、植民地支配の状態なのである。